***恋心 16 〜類つく〜***



 
「俺の、妹になってよ」

俺の言葉に、牧野が目を瞬かせた。

「妹なら、ずっと傍にいられる。離れないで済む」

「類―――」

「牧野と、ずっと一緒にいたいんだ。司のところに行っても―――離れたくない」

「そういうの、我儘っていうんだよ」

「知ってる。でも、嫌なんだ。牧野と離れるなんて、考えられない」

「―――じゃ、あたしの気持ちも知ってる?」

牧野が潤んだ瞳で俺を見つめる。

「え?」

「あたしだって―――類の傍にいたいと思ってるよ」

その言葉が、甘い誘惑となって俺を引き寄せる。

「でも、妹じゃ嫌」

「―――どうしたらいい?」

「あたしをさらって―――。それで、ずっと一緒にいて―――離さないで―――」

「それ、本気にとっていいの?あとで取り消しても、受け付けないよ?」

「うん」

ふわりと微笑む牧野を、腕の中に包み込んだ。

艶やかな黒髪に口付けて。

もう二度と離さないように。

ぎゅっと抱きしめた―――







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