「俺の、妹になってよ」
俺の言葉に、牧野が目を瞬かせた。
「妹なら、ずっと傍にいられる。離れないで済む」
「類―――」
「牧野と、ずっと一緒にいたいんだ。司のところに行っても―――離れたくない」
「そういうの、我儘っていうんだよ」
「知ってる。でも、嫌なんだ。牧野と離れるなんて、考えられない」
「―――じゃ、あたしの気持ちも知ってる?」
牧野が潤んだ瞳で俺を見つめる。
「え?」
「あたしだって―――類の傍にいたいと思ってるよ」
その言葉が、甘い誘惑となって俺を引き寄せる。
「でも、妹じゃ嫌」
「―――どうしたらいい?」
「あたしをさらって―――。それで、ずっと一緒にいて―――離さないで―――」
「それ、本気にとっていいの?あとで取り消しても、受け付けないよ?」
「うん」
ふわりと微笑む牧野を、腕の中に包み込んだ。
艶やかな黒髪に口付けて。
もう二度と離さないように。
ぎゅっと抱きしめた―――
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