***恋心 15 〜類つく〜***



 
「何もなかったよ」

「2人きりで一晩過ごして?しかも、手ぇ繋いでたのに?」

類はすっかり疑りの目だ。

お酒というものは恐ろしい。

バイト帰りにバイト仲間と飲みに行って。

そこで偶然西門さんに会った。

そこまでは覚えてるけれど。

その先のことは、まったく思い出せない。

気づいた時にはあたしのアパートで、西門さんと2人手を繋いで寝ていたのだ。

同じ布団に入り、しかも悪いことに西門さんはパンツ一丁。

あたしもなぜかキャミソールにパンツという格好で―――

だけど、何もなかった、はず。

いくらあたしが鈍くっても、何かあればわかるはずで―――

それを何とか類に納得してもらおうと必死になっているときに、この男は。

「牧野って、いい匂いするんだな。結構出るとこ出てるし」

―――絶対わざとだ!

あたしは口をパクパクさせながら、西門さんを睨みつけたのだった―――。







お気に召しましたらクリックしていってくださいね♪