***恋心 14 〜類つく〜***



 
つい、うとうとしていた。

いつもの非常階段で。

ふと、唇に柔らかい感触。

目を開けると、目の前に花沢類のきれいな睫毛。

「―――なんで」

「したくなったから」

「だから!そういう理由でキスしないでって―――!」

「じゃあ、どういう理由ならいいの?」

「!!」

「好きだって、言えばいい?牧野が、好きだからキスしたって」

いつもと違う、ちょっと強気な花沢類に。

あたしの胸がどきどきと騒ぎ出す。

「好きだよ、牧野が。だから、キスした」

「花沢類、あたしは―――」

「―――もう、司に遠慮するのはやめたんだ」

「道明寺と―――何かあったの?」

「それは、牧野でしょ。司と―――また喧嘩したんじゃないの?」

ドキンと心臓が鳴る。

そんなに腫れぼったい目をしてるのかと思って、思わず目をそらす。

「もう―――我慢できないよ」

類の声が、切なげに響く。

「そんな風に泣いてばかりいる牧野を、放っておけない」

「類―――」

「牧野は、俺が―――幸せにする」

そうして近づいてくる類を。

あたしは、拒むことができなかった。

やがて2つの影が重なり・・・・・・

今度は。

触れるだけのキスでは、終わらなかった・・・・・。







お気に召しましたらクリックしていってくださいね♪