***恋心 13 〜類つく〜***



 
ずっと手を繋いで。

隣を見れば、いつもあなたがいて。

穏やかな笑顔をあたしに見せて。

そのビー玉のような瞳であたしを見つめて。

そうしていつもあなたを感じてたかった。

「いつ来るの?司」

「来月だって。いつも突然なんだから」

「でも、ようやく帰ってくるんだから、よかったじゃん」

―――そんな風に言わないで

「牧野?どうかした?」

「あ―――ううん」

「元気ない。せっかく司が帰ってくるのに。嬉しくないの?」

「―――類は?」

「俺?」

「フランスへ、行っちゃうって―――」

「ああ―――。来月ね」

「ずっと・・・・・?」

体が、震える。

「―――長くなると思う。牧野?なんで―――」

「行ってほしくない」

「―――牧野」

「行って欲しくないよ。あたしは―――類の傍にいたいのに」

涙が、溢れては零れた。

「―――司と、結婚するんだろ?」

首を横に振る。

あたしが好きなのは、類。

やっとわかったのに。

どうしたらいいか、わからなかった。

「じゃ、俺と一緒に来てくれる?」

涙を掬う、類のきれいな指。

「牧野が着いてきてくれるなら―――俺は、一生牧野の傍にいるよ。離れない」

「好き・・・・・・。好きなの・・・・・・類」

「俺も好きだよ。ずっと牧野だけ」

ゆっくりと、唇を重ねる。

類の熱が、徐々に伝わってくるみたいに、あたしの体が熱くなってくる。


ずっとそばにいて。

いつも隣にいて。

あたしにはあなたが、必要だから―――。







お気に召しましたらクリックしていってくださいね♪