ずっと手を繋いで。
隣を見れば、いつもあなたがいて。
穏やかな笑顔をあたしに見せて。
そのビー玉のような瞳であたしを見つめて。
そうしていつもあなたを感じてたかった。
「いつ来るの?司」
「来月だって。いつも突然なんだから」
「でも、ようやく帰ってくるんだから、よかったじゃん」
―――そんな風に言わないで
「牧野?どうかした?」
「あ―――ううん」
「元気ない。せっかく司が帰ってくるのに。嬉しくないの?」
「―――類は?」
「俺?」
「フランスへ、行っちゃうって―――」
「ああ―――。来月ね」
「ずっと・・・・・?」
体が、震える。
「―――長くなると思う。牧野?なんで―――」
「行ってほしくない」
「―――牧野」
「行って欲しくないよ。あたしは―――類の傍にいたいのに」
涙が、溢れては零れた。
「―――司と、結婚するんだろ?」
首を横に振る。
あたしが好きなのは、類。
やっとわかったのに。
どうしたらいいか、わからなかった。
「じゃ、俺と一緒に来てくれる?」
涙を掬う、類のきれいな指。
「牧野が着いてきてくれるなら―――俺は、一生牧野の傍にいるよ。離れない」
「好き・・・・・・。好きなの・・・・・・類」
「俺も好きだよ。ずっと牧野だけ」
ゆっくりと、唇を重ねる。
類の熱が、徐々に伝わってくるみたいに、あたしの体が熱くなってくる。
ずっとそばにいて。
いつも隣にいて。
あたしにはあなたが、必要だから―――。
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