目の前に、あいつが立っていた。
いつものように不敵な笑みを浮かべて。
「何、してんの?」
「せっかく帰って来たってのに、そのセリフかよ」
「だって―――帰って来たって―――?」
「言葉通りだ。お前、頭悪くなったんじゃねえか?」
「あんたに言われたくないわよ!だって―――聞いてないよ、そんなの!」
「びっくりさせようと思ったんだよ。おふくろが―――」
道明寺の手が、あたしの髪に触れる。
「そろそろ、お前の傍に行けって」
その言葉に、あたしは心底驚いた。
「嘘」
「マジだよ。地固めはできた。今度は日本で仕事しろってよ。全く勝手な女だよ」
そう言って嬉しそうに笑う道明寺。
あたしは、すぐにその言葉を信じることができなくて・・・・・
「おい?どうした?」
「―――ずっと、いられるの・・・・・?」
「ああ」
「本当に?また明日になったらいなくなったり―――」
あたしの唇に、重ねられるキス。
「もう、いなくなったりしねえ。ずっと、お前の傍にいるよ・・・・・」
抱きしめられて。
その広い胸のぬくもりに。
あたしはゆっくりと目を閉じたのだった・・・・・
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