***恋心 10 〜つかつく〜***



 
目の前に、あいつが立っていた。

いつものように不敵な笑みを浮かべて。

「何、してんの?」

「せっかく帰って来たってのに、そのセリフかよ」

「だって―――帰って来たって―――?」

「言葉通りだ。お前、頭悪くなったんじゃねえか?」

「あんたに言われたくないわよ!だって―――聞いてないよ、そんなの!」

「びっくりさせようと思ったんだよ。おふくろが―――」

道明寺の手が、あたしの髪に触れる。

「そろそろ、お前の傍に行けって」

その言葉に、あたしは心底驚いた。

「嘘」

「マジだよ。地固めはできた。今度は日本で仕事しろってよ。全く勝手な女だよ」

そう言って嬉しそうに笑う道明寺。

あたしは、すぐにその言葉を信じることができなくて・・・・・

「おい?どうした?」

「―――ずっと、いられるの・・・・・?」

「ああ」

「本当に?また明日になったらいなくなったり―――」

あたしの唇に、重ねられるキス。

「もう、いなくなったりしねえ。ずっと、お前の傍にいるよ・・・・・」

抱きしめられて。

その広い胸のぬくもりに。

あたしはゆっくりと目を閉じたのだった・・・・・







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