***いつも隣に 〜風爽〜***



  2人で、映画を見に行った。

甘酸っぱい初恋のストーリー。

なんだか切なくなって。

涙が出そうになったころ。

風早くんの手がわたしの手に重なった。

驚いて隣を見れば、そこには微かに頬を染めた風早くん。

くすぐったくって。

でもうれしくって。

ずっとドキドキしてた。

映画館を出ても、手はずっと繋がれたまま。

ずっと―――こうしてたいな・・・・・。

だけどもう外は暗くなっていて。

帰らなくちゃ。

切ない気持ちを秘めたまま、風早くんと歩く道。

気付けばもう家の前で。

「―――じゃあ、また明日」

そう言って手を離そうとしたけど。

風早くんはそのまま離そうとしなくて。

「―――まだ、一緒にいたいな」

切なげな彼の声が、わたしの胸を揺さぶった。

「風早くん・・・・・」

「―――なんてね!また、明日!」

急にそう言っていつもの笑顔を見せる風早くん。

そして手が離れた瞬間―――

「わたしも」

「え?」

「わたしも―――同じこと、思ってた。まだ、離れたくないって―――」

風早くんの頬が微かに染まる。

「おんなじ気持ちで―――嬉しい」

わたしの言葉に、嬉しそうに頷いて―――

「―――じゃあ」

「うん」

今度こそ本当に風早くんは行こうとして―――

ふと立ち止まると、わたしを振り返った。

え?

何だろうと、考える余裕もなく。

一気に近づいてきたと思ったら、次の瞬間には唇が重なっていた。

初めての、キス・・・・・

「好きだよ」

わたしだけに聞こえる、甘い囁きを残して―――

「わたしも―――好きだよ」

そう言った時には、風早くんの姿はもう小さくなっていた・・・・・







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