***2+1 〜風爽〜***

 


テスト前で、今日は部活がない。

そして千鶴とあやねは今日はピンに雑用を頼まれ、借りだされている。

「雑用なら私が・・・・・」

そう言う爽子に、千鶴が言った。

「あー、いいのいいの。どうってことないよ、このくらい。その代わり貞子ノート、期待してるからさ」

爽子がまとめたノートがないと、勉強する気になれないという千鶴のため、爽子は先に帰ることにしたのだった。

そして、風早と龍も一緒に帰る。

「3人で帰るのって珍しいよな。龍、いつも部活だから」

風早の言葉に、爽子も頷く。

「うん、ほんと。真田君、いつも頑張ってるもんね」

「あー、まあ・・・・・好きなことだから」

いつものようにそっけなく答える龍だけれど。

頬を指でかく龍の顔は、微かに赤くなっている気もした。

「でも・・・・・勉強はあんまり好きじゃない」

「だよなー」

「だから・・・・・俺も、見たいんだけど」

「何を?」

不思議そうに聞く風早。

爽子も首を傾げる。

「・・・・・貞子ノート」

その龍の言葉に、爽子は驚き―――感激していた。

「も、もちろん、いいよ!」

爽子を挟んで、3人で並んでいたのだが。

爽子が感激して身を乗り出すようにしたことで、龍と爽子の距離がぐんと縮まる。

もちろん爽子は無意識なのだけれど。

風早の眉がピクリと動く。

「英語が・・・・・苦手で・・・・・」

「うん、じゃあ真田君に、最初に英語のノート渡すね!千鶴ちゃんには数学頼まれてたから―――」

―――まるで、2人が一緒に帰っていて風早がその横にくっついているような感じ―――

もちろん風早の気のせいなのだけれど。

「お、おれも!」

「え?」

爽子が振り向く。

「お、俺も―――科学とか、苦手だから、その―――」

「あ―――うん、じゃあ、風早くんには科学のノート、作ってくるね」

「さ、さんきゅ―――あ、でも、そんなに沢山じゃ、黒沼が大変だよな」

「ううん、大丈夫だよ。あたしの作ったノートがみんなの役に立つなら、嬉しい」

そう言ってふわりと笑う爽子の笑顔に、見惚れる風早。

そしてその横では、そんな2人を見て笑う龍。

千鶴が帰ってきたら、一緒に勉強しようかと考えていたことは、言わなかったけれど・・・・・







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