My Friend


・・・もしも生まれ変わったなら、今度はこんな女の子になりたい。
 そんな思いを抱かせるのに充分な魅力を蘭は持ってる。
 本人がまったくそれに気づいてないってのも、まあ魅力の1つよね。

 そんなことを考えながら、園子は自分の向かい側でせっせと宿題に取り組む愛すべき親友、蘭を見つめていた。
「・・・きれい」
 ぽそっと呟いた園子の声に、蘭はえ?と顔を上げた。
「何?なんか言った?園子」
「蘭の髪。きれいだなあと思って」
「え・・・そう?ありがと。でも園子だって・・・」
「だめだめ、わたしの髪なんて茶髪だし・・・」
「わたしは好きだよ?園子の髪。黒髪って、ちょっと重い感じがするけど園子の髪は明るくって、園子にぴったりだと思うけど?」
 にっこりと笑って言う蘭に、園子は思わず顔を赤らめた。
「蘭って・・・ほんっとに良い子よねえ。あやつにはもったいない・・・」
 という園子の言葉に、蘭の頬が赤く染まる。
「園子!」
「そういや、今日はあのがきいないのね?」
「コナン君?今日は博士のところよ。少年探偵団の子達と一緒だと思うわ」
「ふーん・・・」
 園子は、コナンの姿を頭に思い浮かべながら、ゆっくりと口を開いた。
「あの子ってさあ・・・絶対蘭のこと好きよね」
「な、何言ってるのよ、急に」
ぱっと赤くなった蘭にかまわず園子は続ける。
「だあって、あの子、蘭の前だとまるっきり態度違うじゃない?みえみえって感じ。蘭、あんた気づいてないの?」
園子の言葉に、蘭は困ったように首を傾げた。
「違うと思うよ?だって、コナン君好きな子いるって言ってたもの。たぶん、同じクラスの子じゃない?」
蘭の言葉に、園子は思いっきりじと目になって蘭を見た。
「好きな子ぉ?あのガキが、そう言ったの?同じ小学生だって?」
「小学生・・・とは言ってなかったかなあ?でも、たぶんそうじゃない?」
「ふーん・・・?」
一応頷きながら・・・
ぜっったい違うわよ!蘭ってば、わかってないんだから。あのガキの、あんたに対するあの態度。あれは・・・
そう、あれは、新一君のあんたに対する態度とそっくりじゃない!一応ごまかしてはいるけど、自分以外の男は絶対近づけないっていう、あの俺様な態度!
いっぱしの男みたいな目えしてさ。あれは、絶対蘭にほれてるのよ。
「―――よし、終わり!」
不意に顔を上げた蘭に、園子ははっとする。
「え?え?終わったって、宿題?もう?」
「うん。園子ってば、どうしたの?ボーっとしちゃって。あ・・・もしかして、京極さんと何かあった?」
蘭の言葉に、園子がウッと詰まる。
「べべべ、別に?な、何言ってんのよ、蘭ってば」
しどろもどろで、それこそばればれな園子の態度に、蘭は苦笑いする。
「もう・・・また喧嘩でもした?」
「喧嘩なんて・・・喧嘩、出来ればまだいいわよ。真さんって・・・何考えてるんだかいまいちわかんないんだもん」
「そお?」
「うん。わたしのこと大切にしてくれてるのかなって思うけど、でも・・・もっと、思ってることはっきり言ってくれたっていいのに・・・」
園子が、寂しげに表情を曇らせた。
蘭は、こんなときながら、園子をきれいだ、と思っていた。好きな人のことで悩む姿は、憂いを含んでいてどことなく艶っぽく、園子をいい女に見せていた。
「・・・じゃあ、京極さんにそういってみたら?」
「そ、そんなこと・・・!言えないよ。言ったら真さん、気を悪くするかも・・・」
「ないない、そんなこと。逆に喜ぶと思うよ?」
「ええ?」
「園子が、そんな風に京極さんのこと思ってるって知ったら・・・わたしだったらうれしいな」
にっこりと微笑む蘭を、上目遣いに見る園子。
「そう・・・?」
「うん、絶対!・・・電話、する?わたし、ちょっとのど乾いたからお茶入れてくるね」
そう言って、蘭は部屋を出た。
しばらくすると、部屋の中から園子の声が・・・
蘭はほっとしたように微笑み、部屋を離れたのだった。
「ただいま!あれ、蘭姉ちゃん?ここで何してんの?」
帰ってきたコナンが、冷蔵庫の前で突っ立っている蘭を見て言った。
「あ、お帰り、コナン君。ちょっとお茶飲みに・・・ね」
そう答えた蘭は、どこかうれしそうだ。
「?玄関に園子姉ちゃんの靴があったみたいだけど・・・」
「うん、わたしの部屋にいるよ」
「??蘭姉ちゃんは行かないの?」
「今、電話中だから」
うれしそうに言う蘭を見て、コナンはようやく気付いた。
ああ、そういうことか・・・。
「ゆっくり、話させてあげたいの。時々しか、会えないからね・・・」
その言葉に、コナンの胸がどきりとする。
「あ、そ、そうだね・・・」
「園子にはね、いつも元気でいてほしいの。恋に悩んでる園子も素敵だと思うけど・・・。でも、いつも元気で、憎まれ口言ってるくらいの園子じゃないと。わたしは、そんな園子に元気もらってるんだもん」
うふふと笑う蘭の顔には、さびしそうな影はなかった。
「蘭姉ちゃんは・・・元気なの?」
「わたし?元気よ♪園子やコナン君に、いつも元気もらってるもん」
にっこりと満面の笑みを向けられ、思わず赤面するコナン。
「あ・・・」
何か言おうとしたとき、部屋のドアが開いた。
「あ、蘭、ごめん。わたしも何か飲み物もらっていい?」
と、ひょっこりと顔を出した園子が言った。
「あ、うん。アイスティーで良い?」
「もち。サンキュー♪あれ、帰ってたの?」
と、コナンを見て相変わらずの口調。
「まあね」
「わたしたち、まだ勉強中なんだから邪魔しないでよね?」
いつもとなんら変わらない園子に、苦笑いするコナン。
しかし、そんな園子を蘭はうれしそうに見つめている。
「・・・がんばってね。勉強」
コナンの言葉に蘭がうなずき、2人は出て行った。

「・・・ま、今日のところは譲ってやるさ」
蘭が、うれしそうに笑っていたから・・・。
蘭が元気でいてくれるなら、それで良い。

そう思いながらも、なんとなく悔しかったりするコナンだった・・・。




園蘭です♪
いついかなるときでも園子は園子らしく、蘭ちゃんは蘭ちゃんらしくあって
ほしいなあという、そんなことを思いながら書きました♪
感想とかありましたら、bbsのほうでお待ちしてます♪